ssicacaの会計士を目指す記録

会計士を目指すブログです。

【感想】管理会計の論文上級答練を受けました

管理会計の上級答練を受けました。

というか答練自体ほんと久々に受けました。

 

なんというか、ゆっくりしっかり勉強するのも大事ですが、

答練の集中度はやはり違いますね。

定期的に受けなければと感じました。

 

非常に手ごたえが悪かったので…

危機感を強くしました。

 

今回の答練ですが、管理会計の論文答練です。

大問2つ、それぞれ中問が2つずつという、いつも通りの出題形式です。

 

計算に関する反省点もさることながら、時間管理がうまくできませんでした。

今回、大問2の問題2の計算問題については無念のノータッチとなってしまいました。

ひとえにタイムマネジメントの失敗によるものです。

 

稼ぎどころの原価計算部分も、解き方がわからず。

 

結果として、C判定くらいになるかなと予想しています。

過年度生とは思えない判定かもしれません。

 

個人的に管理会計に苦手意識はないので、大コケしなければ偏差値50はいくのではと考えています。

修了考査でも不要なので、あまり深入りせず高得点も狙わず、ほどほどにしておこう…

 

そんなことを考えていましたが、そんな余裕がないってことを知らしめられてしまいました。

 

まずは、人並みに管理を戻す!

 

 

そのために必要なことは

①大コケしないタイムマネジメント

②理論の安定

と考えています。

 

各中問の理論を落とさないで、基本的な計算を解けば、しっかり乗る気がしています。

 

もちろん計算結果をして理論を問う問題もあるので、計算をおろそかにはできないのですが…

現状、他科目との兼ね合いもあるので、計算問題に手を出すのもつらいですね。

 

【改善策】

①時間を決める

タイムマネジメントに関しては、各中問にかける時間に制限をかけることを試してみようかと思います。

財務ではやっているのですが、各問題の時間を厳しく決めます。

大きくハネルことは難しくなりますが、その分、各問の易しい問題を確実に拾うことを狙います。

 

②理論集の反復

なんといっても理論のキーワードがでないと点数になりません。

まずはそれぞれの理解が必要です。

慣れればキーワードを中心に短時間で回せるようになるでしょう。

1章ずつでも反復することが重要ですね。

 

③スケジュールを立てて、対策をして、答練に臨む

これは管理に限ったことではありませんね。

締め切り効果で、学習効果も高まりそうです。

 

それでは、傷心のため、本日はこの辺で。

【不安】プロテインって飲みまくっても大丈夫なの?

こんにちは。

ssicacaです。

 

STAYHOMEが叫ばれて早1か月が過ぎました。

おうちの中ばかりで、体形に不安が生じている方も多いのではないでしょうか。

私もその一人でして。。。しっかり体重が増加してしまいました。

 

このままでは醜く太るのみ…とうことで一念発起!

低糖質ダイエットを行っています。

 

最近はご飯をプロテインに置き換えて、糖質の代わりにタンパク質を摂取するようにしています。

 

糖質制限ということで、昼と晩の炭水化物をやめています。

 

メニューは以下の通り。

朝は、野菜ジュース・コーンフレーク・プロテイン

昼はサラダ・プロテイン

おやつにチョコ(許して)

晩はヨーグルト・プロテイン・フルーツ

 

こんな感じで1週間生活してみました。(逆にむっちゃ体に悪そう…)

単調な食生活とともに一抹の不安がよぎってきました。

タンパク質とりすぎなのでは…

これってもしかしてやばいのでは…

不安になってきたため現状、体に異変は起こっていないものの、どんなリスクがあるのか調べてみました。

 

結論としては以下の通りです。

 

①体臭が臭くなる

②疲れやすくなる

 

ええ…

嫌ですね…

 

気になるので、どのようなプロセスをたどるのか見ていきましょう。

 

①体臭が臭くなる

 

まず、プロテインはその名の通り、タンパク質です。

タンパク質は摂取されると、体内でアミノ酸に分解されます。

それらのアミノ酸は筋肉のもととなったり、エネルギー源として代謝されます。

アミノ酸代謝される際に、アンモニアが生成されます。

このアンモニアは人体にとって有害な物質なのです。

アンモニアは、神経細胞のエネルギー産生を低下させたり、神経伝達物質を低下させたり、脳浮腫の原因となることがあるようです。

そのため、アンモニアを取り除くために人体の肝臓が活躍します。

肝臓がアンモニア尿素という物質に変換することで、有害物質を尿や汗という形で体外に発散することができるようになります。

 

しかし、肝臓が対応しきれないアンモニアの量の場合は、アンモニアを完全に尿素に変換することができず、アンモニアのまま尿や汗に含まれることになるのです。

アンモニアは強烈なにおいを放ちます(ご存じですよね)。

これが体臭の悪化の一因となります。

 

 

②疲れやすくなる

この原因は、肝臓と腎臓の機能低下によるものです。

これは上記のプロセスと関連しています。

肝臓で処理しきれなかったアンモニアですが、腎臓にしわ寄せがいってしまいます。

腎臓は、尿素のような体に不要な物質を尿として体外に排出する機能を有しています。

しかし、本来は肝臓でアンモニア尿素に変換されているのですが、

変換しきれなかった分を腎臓が行わなければならなくなってしまうのです。

そのため、キャパオーバーしてしまった肝臓に加えて

腎臓のキャパも圧迫されてしまうことになります。

腎臓の負担が大きくなると、疲労感、むくみ、高血圧につながるとのことです。

 

このようなプロセスで疲れやすくなるんですね。。。

 

なんかやばいのかも…

 

それを受けてどうしようか

 

一体、私はどうすべきなのでしょうか。

私の肝臓・腎臓はいくらのタンパク質を処理できるのでしょう。

キャパはどの程度なのでしょうか。

(ちなみに最新の健康診断で腎臓が引っかかっています)

 

これは機会があったら調べてみたいと思います。

 

逆にタンパク質の摂取すべき量を調べてみました。

通常の方は、60ℊ/1日

レーニング中の方は倍の120ℊ/1日

との目安がありました。

 

上記の数値にどのような根拠があるかどうか定かではありませんが

これに基づいて計算してみたいと思います。

 

私が使用しているプロテインは、マイプロテインです。

1色につき擦切り一杯(25ℊ)飲むようにしています。

マイプロテインのタンパク質含有量は約72%とのことです。

つまり、毎回25×72=18ℊのタンパク質を摂取していることになります。

これを1日3回なので、18×3=54ℊ

一般人が1日にとるべき量くらいにしかなっていません。

(意外と全然摂取できていないのね…)

他にも低脂肪乳で溶かしていたり、ヨーグルトを食べているので、もう少し摂取していそうですが、過剰摂取といえるほどではなさそうです。

そもそも、日本人の食生活ではタンパク質を摂取することが難しいとか言われていますしね(自分の食生活が日本人らしいかは置いておく)。

 

結論

過剰摂取にはリスクがあるが、過剰摂取にはなっていなそうだから気にしなくておけ

 

本日はこんなところになります。

 

【企業法】機関ー「議決権の代理行使」

 

本日の学習論点はこちらになります。

企業法ー機関ー代理人を株主とする定款規定の効力

 

【条文学習】

 議決権の代理行使に関する条文は310条1項前段に「株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。」と規定されています。ここから、株主の代理行使権限は株主の固有の権利であり、絶対的な権限であることがわかります。

 そもそも株主にとっては、株主総会での議決権行使は、経営に参画するための重大な手段です。そのため、株主は自ら出席して自ら議決権を行使することが求められています。しかし、株主総会に出席できない株主もいるため、そのような株主に対して、議決権行使の機会を保障する必要があります。310条1項前段では、代理人による議決権行使が可能であることを確認し、さらに、定款によっても代理行使を禁止できないことを定めているのです。

 ただし、日本の株主総会の実務では「代理人の資格として株主に限る」旨の定款を規定している会社が多いとのことです。果たして、そのような定款規定は認められるのでしょうか。

 

 問題を通じて見ていきましょう。

 

【問題】

 A社は、公開会社でない取締役会設置会社である。A社では、「株主が代理人による議決権を行使しようとする場合、その代理人はA社の株主でなければならない」とする旨の定款規定が定められている。

 令和元年6月28日に開催予定の定時株主総会において「Xの取締役選任の件」が目的とされた。ここで、A社の株主であるB株式会社は、Xが取締役に選任されることを阻止したいと考え、法務部長であるCを代理人として出席させるため、委任状を渡した。

 令和元年6月28日に、Bが本件株主総会に出席しようとしたところ、A社の社員は、本定款規定により議決権の行使代理人は株主に限られるとして、Cの株主総会の出席を拒否した。そのため、Cは議決権を行使することができず、本件総会において、Xは三瀬多数により取締役に選任されることが決議された。

 このとき、本件決議に納得のいかないB社は、いかなる手段により対抗することができるか論じなさい。

 

 

【解答例】

〈解決策の提示→問題提起〉

 B社は、代理人Cが本件総会への出席が拒否されたことについて代理人による議決権の行使を認めた310条1項前段に違反し、決議の方法の法令違反を主張して、決議取消の訴えを提起することが考えられる(831条1項1号)。ここで決議の方法に法令違反があるかという点について、A社は本定款規定に基づいて株主ではないCの出席を拒んでいるため、Cが議決権を行使できなかったことが違法であるか、本定款規定の効力及びA社による出席拒否の違法性が問題となる

〈原則論〉

 まず、本定款規定は有効であると解する。そもそも310条1項前段で議決権の代理行使が認められている趣旨は、会社の実質的所有者である株主に対して、議決権行使の機会を保障するものであり、合理的な理由に基づく相当程度な制限までも禁止するものではないからである。ここで代理人資格を株主に限定することは、株主総会のかく乱を防止し、会社の利益を保護する合理的な理由に基づくものである。また、A社は公開会社ではないので株主の変更が少なく、他の株主を探すことが比較的容易であることから、代理人を株主に限定することは相当制度の制限といえる。

〈規範定立→あてはめ〉

 次に、本定款規定の効力の範囲が問題となる。代理人資格を株主に限定することは、株主の重大な権利を制限していることから、本定款規定に基づき議決権の代理公使を拒める場合を限定的に解するべきである。そのため、会社の利益が害される恐れがなく、株主ではない代理人による議決権行使を認めないと事実上議決権行使の機会を奪うことになる特段の事情がある時には、本定款規定の効力は及ばないと解すべきである。

 ここで、法人株主であるB社がCを代理人とすることは、CがB社の一員として議決権を行使する以上、株主総会のかく乱の恐れはなく、法人株主自ら議決権を行使することが不可能であることから、特段の事情があるといえる。そのため、A社によるCへの出席拒否については、本定款規定の効力が及ばずに310条1項違反であるといえる。

〈結論〉

 したがって、本件総会には決議の方法に法令違反があり、B社は株主総会の日から3か月以内に、決議取消の訴えを提起することができる(831条1項)。

 

【分析】

 こちらの論点を整理すると以下の通りになります。

①大原則:代理人の議決権行使は絶対の権利

②原則:株主に限定する定款規定は有効

③例外:特段の事情がある場合は、定款規定は効力を有さない

 

上記の理由について整理しましょう。

①に関しては、条文学習の通りになります。議決権の代理行使に関する条文は310条1項前段に「株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。」と規定されています。ここから、株主の代理行使権限は株主の固有の権利であり、絶対的な権限であるからです。

② 「代理人を株主に限定する」旨の定款規定は、合理的な理由に基づく相当程度の制限であるため有効となります。つまり、必要性・許容性の2観点から認められる制限ということになります。合理的な理由として、株主総会のかく乱防止があげられます。また、株主に限定することは甘受できる程度であるということも示しています。

③ しかし、特段の事情がある場合には、定款規定は効力を発揮できなくなります。つまり、定款規定に従う必要がなくなり、規定を強行した場合は法令違反となるのです。

 それでは、特段の事情とはどのようなものになるのでしょうか。⑴法人株主がその従業員を代理人とする場合、⑵病気中の個人株主が同族のものを代理人とする場合、は特段の事情に当たるという判例があります。このような場合には、株主総会のかく乱の心配はありません。そのため、株主の権利を制限する合理的な理由がなくなってしまうのです。

 上記のように、特段の事情がある場合には「代理人を株主に限定する」旨の定款規定は効力を有さなくなります。その場合にも代理人の議決制限を強行して株主総会の議決を行うと、310条違反となり、決議に法令違反が生じることとなります。

 

 本日は以上になります。

【企業法】機関ー「株主総会の権限範囲」

 本日は、企業法ー機関ー株主総会の権限について学習します。

 

 

【条文学習】

 株主総会の権限に関しては、295条に規定されています。

1項:取締役会設置会社以外→万能の機関

2項:取締役会設置会社会社法の規定・定款規定の範囲に限定

 

 上記のように、取締役会設置会社においては、株主総会の権限は一定の制限がかかります。しかし、定款に規定することで会社法に規定されている部分より、範囲を拡大することができます。それでは、どこまで権限を拡大できるのでしょうか。

 取締役会設置会社では、取締役会に会社の運営・管理は任せようという法の趣旨があります。しかし、会社の所有者は株主であることに変わりはありません。

 そのため、株主総会の権限を拡大しても、取締役会の権限を失わなければOKという風に解釈されています。

 

 それでは、具体的に見ていきましょう。

 

株主総会の権限拡大

【問題文】

 T社は、公開会社でない取締役会設置会社である。T社には「代表取締役は取締役会の決議によって定めるものとするが、必要に応じて株主総会の決日によって定めることができる旨の定め」が設けられており、当該規定に基づく株主総会決議により、D氏が代表取締役として選定されている。

 このとき、D氏は適法に選定された代表取締役として認められるか論じなさい。なお、本規定を設ける際の株主総会決議は適法になされている。

 

【解答例】

〈原則論→問題提起〉

 取締役会設置会社において、取締役会の代表取締役への監督機能の実効性を高めるために、取締役会の決議により代表取締役を選定することとされている(362条2項3号)。しかし、T社では、本定款規定に基づき、株主総会の決議に従って、D氏を代表取締役に選定しており、本定款規定の効力が問題となる。

〈規範定立〉

 取締役会設置会社においては、株主総会は、会社法で規定された事項、定款で定めた事項に限り、決議が可能となる(295条2項)が、この範囲に関し明文規定はない。よって、代表取締役の選定権限についても各会社の実情に合わせて決定できるものと解す。また、代表取締役の選定・解職に関する取締役会の権限が損なわれない限りでは、取締役会の監督権限の実効性を失わせるとは言えない。ここで、本定款規定は、取締役会及び株主総会の権限を併存させるものであることから、有効である。

〈結論〉

 以上より、本件定款規定に基づき選定されたD氏は、適法に選定された代表取締役と言える。

 

【分析】

 説例では、問題文に「必要に応じ株主総会の決議によって定めることができる」とあるように取締役会の権限を失わせない旨が読み取れました。そのため、本定款規定は有効となります。

 概観しておいてなのですが、この論点は、難易度も高くなく、出題可能性も高くなさそうなのでさらっと流す程度でよさそうです。

 それでは、本日はこのへんで失礼します。

【企業法】登記「登記とその他の条文の関係」

今回は、登記の効力について学習します。

 

【条文分析】

 登記の条文は908条にあり、1項で登記の「消極的公示力」・「積極的公示力」が、2項では「不実登記の効力」が規定されています。それぞれ以下のような意味合いになります。

「消極的公示力」:登記をしなければ、善意の第三者に対抗できない

  →登記前の段階では、たとえ事実であっても主張できない

「積極的公示力」:登記をすれば、善意の第三者に主張できる

  →登記が済んでしまえば、善意の第三者に対しても主張できる

「不実登記の効力」:善意の第三者に対抗できない

  →嘘であっても取り消すことができない

 

 ここで問題となるのが「積極的公示力」です。これは登記をしてしまえば、相手方に悪意が擬制されてしまうという非常に強大な規定です。つまり、相手方はなにも知らなくても保護されないことになってしまうのです。取引のたびに、取引相手はわざわざ登記を調べて、相手方の代表者を確認しなければ安心して取引できないのでしょうか。

 しかし、さすがにそれはやりすぎだろうということで、354条に表見代表取締役の規定があり、ここでは第三者は善意・無重過失であれば保護されるということになっています。つまり、908条1項では、登記がなされてしまっていれば、第三者は保護される余地がありませんでした。しかし、354条の適用がなされれば、特に落ち度のない第三者は保護されることになるのです。

 さて、両者は会社法に規定されていますが、どちらが優先適用されるかの明文規定はありません。それについて、下記の設問を見ていきましょう。

 

表見代表取締役と商業登記

【問題文】

 T株式会社は、公開会社ではない取締役会設置会社である。T社の創業者であるAは、代表取締役を退いた後,「取締役会長」の地位に就任している(T社は、この肩書の使用を黙認している)。Aは、「取締役会長」として、Xから商品を購入する売買契約を締結した。Xは、Aが代表権を有していないことに善意・無重過失である。なお。T社はAの退任登記を適時に行っていた。

 この時、Xは、T社に対して商品代金を請求することができるか。

 

【解答例】

〈原則論→問題提起①〉

 Aは代表取締役を退任しており、代表権を有していないことから、無間代表行為となる。そのため、本件契約の効力はT社に帰属せず、XはT社に商品代金を請求できないのが原則である。しかし、Aは取締役会長という名称を付しており、Xは、Aが代表権を有していないものと誤認して取引を行っていることから、354条を適用してXを救済できないだろうか。

〈354条のあてはめ〉

 354条は、権利外観理論に基づき、取引の安全を図る規定であるから、その適用には①権利の外観、②帰責性、③相手方の信頼が必要である。本問では、①取締役会長という名称が付されており、②T社はこれを黙認している。また③Xは善意・無重過失であることから、354条を適用することができると解する。

〈問題提起②〉

 ここで、T社は、Xの退任登記を適時に行っていることから、908条1項が適用されるかが問題となる。適用されると、354条の適用余地はなくなるが、法は、反復・迅速的に行われる商取引に対して逐一登記の閲覧を要求しているとは考えられないことから、354条は908条1項の例外規定であり、優先的に適用されるものと解する。

〈結論〉

 以上より、354条が適用され、T社はXに対する責任を負わなければならないため、Xはt者に対して商品代金を請求することができる。

 

以上

 

【分析】

 上記のように、登記の効力はあくまで原則論に過ぎず、例外規定があればそちらが優先すると考えられます(そうでないと例外規定のある意味がありません)。なかなか何度が高いように感じます。

 また、このような問題では、問題提起が2度求められます。そのため、書き方が難しくなると思われます。解答のスペース・時間にも限界があることから、難易度は高めになることが予想されます。

 定期的に振り返りたい問題ですね。

 

 それでは、本日はここまでです。

【企業法】資金調達―「募集株式発行無効の訴え」

 本日は資金調達―募集株式発行の無効の訴えの論点になります。

 ここは条文上、無効原因に明文規定がないため問題となるという、書いていて楽しい?箇所です。

 それでは、過去問を通じて見ていきましょう。

 

今回は2013年-第1問を取り上げます。

【問題文】

  甲会社は、発行済み株式総数100株の株式会社であり、種類株式発行会社ではなく、株券発行会社でもない。甲会社の定款には、同社の株式を譲渡により取得するには同社取締役会の承認を要する定めがある。甲会社の株主は、A(70株)、B(20株)、C(10株)であり、同社の代表取締役はA、取締役はDおよびEである。

 Aは、甲会社の資金調達を主な目的として、1株の払込金額を10万円(特に有利な払込金額ではない。)、発行する株式の数を100株、払込期日を平成24年6月18日、割当先をAとする募集株式の発行を企図した。甲会社では、過去1年以内に、募集株式の決定につき、取締役会に委任する旨の株主総会の決議はなされていないにも関わらず、甲会社は、株主総会を収集することなく、取締役会に委任することなく、取締役会の決議に基づき募集株式を発行し、Aは払込期日に全額を払い込んだ。Aは、本件募集株式発行にかかる株主総会の議事録を捏造し、甲会社を代表して、増資の登記を行った。

 その後、平成25年7月25日、Aは、自らの債務の返済のために、DおよびEに相談することなく、自己の有する甲会社株式50株をFに譲渡した。

 

 Bは、平成25年3月28日に開催された甲会社の定時株主総会において、本件募集株式の発行の事実を知った。そこで、Bは、同年4月12日に、新株発行の無効の訴えを提起した。この訴えによる無効の主張が認められるかを論じなさい。

 

【解答例】

〈問題提起〉

 甲会社は公開会社ではないため、新株発行無効の訴えは、効力発生日から1年以内に、株主等に限り提起することができる(828条1項2号かっこ書き2項2号)。これは募集株式の発行等は、多くの利害関係人が生じることから、一般原則にゆだねると法的安定性が害されるためである。株主Bは、効力発生日から1年以内に訴えを提起しているが、無効原因については明文規定がない。本件株主発行において株主総会決議(199条2項、309条2項5号)を欠くことが無効原因となるかが問題となる。

〈規範定立〉

 この点、新株発行の効力発生後は取引の安全を重視して、無効原因は、重大な法令・定款違反に限定すべきである。ここで、公開会社出ない株式会社については、その性質上、持株比率の維持にかかる既存株主の利益の保護を重視し、その意思に反する株式の発行は募集株式発行無効の訴えにより救済するというのが会社法の趣旨であると考えられる。よって、公開会社でない会社において株主総会決議を欠いていることは、重大な法令違反に該当し、無効原因となると解する。

 したがって、Bの訴えによる無効主張は認められる。 

 

以上

 

【出題の趣旨】監査審査会公表

問1では、公開会社ではない会社において、株主総会の特別決議を経ないでなされた募集株式発行の効力について、新株発行無効の訴えの原告適格や出訴期間についても指摘しつつ検討することが求められる。

 

【分析】

 がっつり論点型で、結論を覚えていなければ書けないタイプの問題でした。新株発行無効の訴えは、状況と結論を(できれば趣旨も)しっかり押さえておかなければならない論点です。①共通で無効原因になるもの、②非公開会社で無効原因になるもの、③公開会社で無効原因とならないもの、の3タイプに整理するといいかもしれません。

 本問は、結論を抑えたうえで、原告適格や出訴期間にも触れられるとさらに好印象だった模様です。これは、最初か最後にさらりと触れる程度でいいかもしれません。

 また、新株発行に関しては、差止と発行無効の訴えを対比的に抑え、発行無効の訴えが認められるのは極めて限定的というニュアンスも出せるとなお好印象かと思われます。

 

本日は以上になります。

【企業法】資金調達ー現物出資と仮装払込~2018年第1問~

本日は、資金調達分野について学んでいきます。

 

【過去問の出題傾向】

 資金調達分野の出題歴を振り返ると、2013年に「新株発行の効力」が、2018年に「募集株式の発行手続・関係者の責任」が問われています。5年ごとに出ているので、これ通りにいけば、令和2年の出題可能性は高くはなさそうです。ただ、範囲に含まれている以上、対策は取らねばなりません。

 本日は2018年の第1問「現物出資と仮装払込」の出題を取り上げます。

 

【問題文】

 甲会社は、公開会社ではなく、取締役設置会社でもない。甲会社の株主はA、B及びCの3名であり、甲会社の代表取締役はA、取締役はBである。

 A及びBは、甲会社が募集株式の発行を行って資本金の額を増加させることで、会社の信用力を強化し、取引先を拡大したいと考えた。そこで、Aは甲会社の株主総会を開催し、①100株以上の募集株式を発行すること、②募集株式の払込金額を100万円とすること、③一部の募集株式については、Aが甲会社に対して有する貸付債権5000万円を出資の目的とし、本件債権の価額を5000万円とすること、④A及びBは各50名株の募集株式を引き受けること、を提案した。上記提案は、A、B及びCの全員の賛成によって可決・承認された。なお、①の株式の数は、甲会社の発行済み株式総数と同じであり、②の払込金額は、引受人であるA及びBにとって特に有利な価額ではなかった。

 次にA及びBは、上記株主総会終結後に相談して、⑤Aは本件債権のみを出資し、金銭の出資は行わないこと、⑥Bは出資を行うだけの十分な資産を持っていないことから、Aが甲会社の保有する現金5000万円をBに交付し、Bがその金員の全額を甲会社の出資の履行に充てることを決定した。

 この場合において、次の問題1・2に答えなさい。

問題1

 Aが本件債権を出資するために経るべき会社法上の手続について、本件債権の弁済期が到来している場合と、まだ到来していない場合とに分けて、説明しなさい。

問題2

 Bが上記⑥の出資の履行により取得した株式の払込について、B及びAは、甲会社に対して、会社法上どのような責任を負うか論じなさい。また、当該募集株式の発行の後、最初に開催される甲会社の株主総会において、Bは、上記⑥の出資の履行により取得した50株について議決権を行使することができるか論じなさい。

 

【解答例】

問題1

 Aが本件債権を出資することは、現物出資に該当する(199条1項3号)。現物出資では、目的財産が過大に評価されると他の株主との間で不公平になることや、会社債権者を害する恐れがある。そこで、現物出資財産の評価の適性性を確保するため、原則として、裁判所が選任した検査薬の調査が必要となり、そのための手続が必要となる(207条)。

 本件債権の弁済期が到来している場合は、本件債権について株主総会で定められた価額(199条1項3号)は5000万円であり、本件債権の負債の帳簿価額以下であるので、検査役の調査は要求されない(207条9項5号)。弁済期が到来していれば、会社の弁済額が確定しており、評価の適性性は確保できるからである。

 これに対し、本件債権の弁済期が到来していない場合は、同条項4号の専門家証明を受けない限り、前述した検査役の調査が必要となり、そのための手続が要求される。

 

問題2

 Bの出資は、Bに資金力がなく会社資金によって払い込みが行われていることから、出資の履行が仮装されている。募集株式の引受人が出資の仮装を行った場合、引受人は会社に対し、払込を仮装した払込金額の全額の支払いの責任を負う(213条の2第1項1号)。これは、既存株主が拠出した会社の財産が、出資の履行を仮装した募集株式の引受人へと不当な価値の移転が生じることになり、既存株主を害するからである。したがって、Bは、甲会社に対して、払込金額5000万円全額の支払いの責任を負う。

 次に、出資の履行の仮装に関与した取締役は、会社に対して当該引受人と連帯して、1と同じ支払い義務を負う(213条の3)。Aは、甲会社保有の現金をBに交付するという仮装に関与した取締役であることから、無過失責任を負う(213条1項ただし書きかっこ書き)。したがって、Aは甲会社に対して、Bと連帯して5000万円全額の支払い義務を負う。

 出資の履行を仮装した引受人は、1.又は2.の支払いがされた後でなければ、出資の履行を仮装した募集株式について、株主の権利を行使することができない(209条2項)。したがって、A及びBによる1.又は2.の支払い義務が履行されれば、Bは当該50株について議決権を行使することができるが、そうでない場合は議決権を行使できない。

以上

 

【出題の趣旨】監査審査会公表

問題1

 本件債権の出資は現物出資に該当するため、会社法207条の手続を検討することとなる。本件債権の弁済期が到来していれば、現物出資財産の価額(会社法199条1項3号)が当該債権にかかる負債の帳簿価額(券面額)と同額に定められるから、会社法207条9項5号により、検査役の調査は不要となる。弁済期が到来していない場合には、原則として同条の手続が必要となるので、検査役の選任・調査が必要となる。もっとも、専門家の証明を受けた場合には、手続は必要である。

問題2

 Bの払い込んだ金員は甲会社を出所とするものであり、Bは実質的に経済的な出捐をしたとはいえず、甲会社も経済的な給付を受けたということはできないから、出資の履行は仮装によるといえる。

 そのため、Bは会社法213条の2第1項1号に基づく責任を負う。また、Aは当該出資の履行の仮装に関与した取締役に当たり、そのことについて職務を行うについて注意を怠ったとは言えないから、Aも甲会社に対して責任を負い(会社法213条の3第1項)、BとAの責任は連帯する。

 このとき、会社法209条2項により、Bはその引き受けた株式について株主の権利を行使することが制限され、BまたはAが出資の履行責任を甲会社に対し果たすまでは、Bは50株について株主総会で議決権を行使することはできない。 

 

【分析】

 特に論点のない、条文指摘・説明型の問題でした。

 問題1ではデットエクイティスワップが問われています。細かいですね…。書けた人はどれだけいるんでしょうか。ただ、問われていることは細かいですが、原則論から書き始めるという姿勢で臨めば、わからないなりになんとかかけると思います。本問では、募集株式の払込として、現物出資が行われていることから、現物出資の弊害を論じることで、答案につながりと厚みを持たせられることができます。

 問題2は、問題文の読み取り、条文指摘ができるかがポイントでした。ただ、事案の読み取り、条文を探すことができれば、難しくはない問題だったのかと思います。条文の理解が試されますね。

 

本日は以上です。